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「ご遺族の“ありがとう”に救われた日 若手納棺師が大切にしている想い」 - 株式会社センティスト

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「ご遺族の“ありがとう”に救われた日 若手納棺師が大切にしている想い」


こんにちは。政宗です。
今回は、前回に引き続き、納棺師歴3年目の若手納棺師Oさんにお話を伺いました。

日々さまざまなご遺族と向き合いながら、
どんなことを大切にしているのか──
そして、忘れられない「ありがとう」のエピソードについても語ってくれました。

 

ご遺族への気遣い、それは“当たり前”ではなく“積み重ね”

彼が日々心がけていることのひとつに、「ご遺族の様子をよく見ること」があるそうです。
たとえば、納棺の儀(故人様をお棺に納めること)や、湯灌(ゆかん)と呼ばれる身体を清め           る儀式の際──
お声がけのタイミングや、必要なサポートが何かを一瞬で判断しなければいけません。

この日、ある訪問先でのお話をしてくれました。

 

見逃してしまった“サイン”

ご遺族様に旅支度のお手伝いを、お願いするのですが実はその方は足に不自由があったそうです。
申し訳ないことをした…と、彼は静かに反省していました。

「気づけていれば、“こちらで履かせますね”って言えたんですよね。
お手伝いしていただくにも、無理のない範囲で、っていう気遣いがやっぱり大事なので…」

ご遺族に気を使わせてしまったことが悔しかった、とのことでした。

 

それでもいただいた、深々としたお辞儀

納棺の儀が終わったあと、
そのご遺族が静かに、深々とお辞儀をして「本当にありがとうございました」と伝えてくださったそうです。

「その瞬間に、“もっとできたかもしれない”っていう悔しさと、
それでも感謝してもらえたことへのありがたさが混ざって、不思議な気持ちになりました」

その言葉が、ずっと胸に残っているそうです。

 

技術も心配りも磨き続けていく姿に、私も背筋が伸びる思いです

納棺師の仕事は、
ただ故人様に触れるだけでなく、ご遺族の気持ちにも寄り添う繊細な仕事です。

日々、所作や技術を磨きながら、
「誰に対しても誠実に接する」ことを一番に考えている彼の姿勢に、私自身も学ばせてもらっています。

日常の業務の中で、時に感謝の言葉が支えになることもある──
そうした小さな瞬間を大切にしながら、今日も現場で頑張る納棺師たちがいます。

 

次回のブログでは、彼が今取り組んでいる本試験に向けた練習の様子をご紹介する予定です。
現場とはまた違う緊張感の中で、真剣に所作や着付けを磨く姿にも、ぜひご注目ください。

 

政宗