「新人納棺師の1日をのぞいてみた 3年目の奮闘と成長の日々」

納棺師って、実際どんな1日を送っているんだろう?
今回は、入社3年目・20代の若手納棺師Oさんにお話を伺い、リアルな1日の流れを教えてもらいました。
慌ただしい中にも、丁寧な所作と心遣いが詰まった日々。
ぜひ、その舞台裏を一緒にのぞいていきましょう。
■ 出社は朝9時から
「出社は9時で、10分ほどでその日の訪問先や予定を確認します」
そう話す彼は、入社して2年が経ち、今年から3年目に入った若手の納棺師さん。まだ20代前半とは思えないほど、落ち着いた雰囲気を感じます。
■ 納棺に向けた準備
9時30分には、1日の現場に向けた準備が始まります。
「納棺」は、故人様にお旅立ちの支度を整える大切な儀式です。
準備する道具も多岐にわたります。
・仏衣(ぶつい):故人様にお着せする白装束
・メイク道具:お顔を整えるための道具一式が入ったカバン(中身は納棺師ごとに工夫やこだわりがあります。後日ご紹介していきたいと思っています!)
・湯灌(ゆかん)セット:お身体を洗い清めるための浴槽やお湯のタンク(20ℓのタンクが2個なんてことも!)
・棺:必要に応じて車に積み込みます(全長は180㎝以上にもなります!)
準備が整えば、10時には安全運転で先輩納棺師と現場へと向かいます。
■ 午前中の現場へ
11時頃、1件目のご自宅に到着し、納棺の儀を執り行います。
ご遺体のお顔やお身体を整え身支度をし、ご遺族とご一緒に旅支度を施します。
一つひとつの所作に、心を込めて向き合っているそうです。
■ 昼食と移動時間
1件目の訪問先で納棺を終えると、12時からお昼休憩。午後の現場に備えて少し体を休めます。
13時からは、2件目の訪問先へ。
移動中は、先輩納棺師と仕事の話をすることも多く、相談したり、助言をもらったりしながら日々学んでいるとのこと。
「先輩との会話が自然と勉強になっていて、自分の糧になっています」と笑顔で話してくれました。
■ 午後は湯灌のご依頼
14時からは、2件目の現場へ。
この日は「湯灌(ゆかん)」という、お身体を丁寧に洗い清める儀式がありました。
湯灌は、準備する道具も多くご自宅の場合は、柔軟な対応力が求められる業務です。
■ 帰社・片付け・振り返り・練習
17時には会社に戻り、使用した道具の片付けや洗浄、不足品の確認を行います。またただ片付けをして終わり、ではありません。
納棺師としての所作や、着付けの練習に時間をあてる日もあります。
8月には納棺師としての本試験を控えており、
彼自身も日々の業務の合間を縫って、真剣に練習に励んでいます。
納棺の所作ひとつにも意味があり、
着付けの一つひとつにも「見えない配慮」が求められる世界。
それらをしっかりと身につけようと努力する姿は、
同じ社内の人間としても本当に頭が下がる思いです。
このブログでは、今後その本試験の模様もお伝えしていく予定ですので、
納棺師の「技」と「心」の両方が磨かれていく過程も、ぜひご覧いただけたらと思います。
18時には退社。
「納棺の仕事は、1日1日、1件1件が違っていて、緊張感もあるけれど、学びが多くてやりがいがあります」と語ってくれました。
納棺師の1日は、準備・移動・儀式・報告と、見えない努力の連続です。
その裏側には、故人様とご遺族へのまっすぐな気持ちと、小さな気配りの積み重ねがありました。
また、忙しい日には1日に4件の現場を回ることもあり、その際はどうしても残業になることも…。
ご遺族や故人様への配慮を欠かさず、1件1件を丁寧にこなす体力と集中力――
日々働く納棺師たちの姿には、同じ社内で働く私も驚かされるばかりです。
次回は、この若手納棺師さんが“日々の業務で「気をつけていること」や「印象に残っているご遺族の言葉」”について語ってくれた内容をご紹介します。